[税務調査]ユニバーサルミュージック80億円申告漏れ報道

 米国の大手音楽会社「ユニバーサルミュージックグループ」の日本法ユニバーサルミュージック合同会社が東京国税局の税務調査で,平成22年12月期までの3年間で約90億円の申告漏れを指摘されていたという記事です。
 ↓msn産経ニュース
 http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120716/crm12071610060004-n1.htm

 記事によれば,ユニバーサルミュージック合同会社が,ユニバーサルミュージック株式会社を吸収合併するにあたって,フランスの関連会社から借り入れた約800億円に対する利息約90億円が否認されたということで,東京国税局は,再編には合理的理由が乏しいことから,利息の支払いが海外への利益移転にあたり,不当な租税回避行為と認定したとのことで,組織再編税制に対する包括的な否認規定である,法人税法132条の2を適用した否認事例のようです。
 東京新聞の記事では,もう少し詳細が報じられています。

 国税局は,合併前後で事業内容などに大きな違いはなく,再編には合理的な理由が乏しいと判断。フランスの実効法人税率が約33%と日本(約40%)より低いことから,借り入れに伴う90億円近い利子の支払はフランス会社への利益移転にあたり法人税を不当に減少させる租税回避行為と判断したもようだ。
 報道内容だけでは,国税局側の主張する課税要件がよくわからない部分もありますが,法人税法132条の2の条項を適用されたのであれば,否認事例としては,ヤフー・グループの一連の組織再編に対する追徴課税処分と,パチンコ業界における大規模な組織再編に対する指摘(こちらは大半が修正申告に応じたと報じられています)に次いで,3件目ではないかと思います。
 ユニバーサルミュージック合同会社は,国税不服審判所に審査請求をしているということですので,今後の審判所の判断などを通じて,132条の2の適用要件がどのように判断されるのか,注目していきたいところです。

 なお,借入金が800億円で利息が3年間で90億円ということは,単純計算で借入利率は3.75%になります。現在の日本の金利を考えれば,やや高い利率での借り入れになるかもしれません。

【税理士 米澤 勝】