『架空循環取引――法務・会計・税務の実務対応』


 筆者初めての著作が出来上がりました。出版社は清文社さん。
共著者は公認会計士の霞晴久,弁護士の中西和幸の両名です。もともと,私たちは「公認不正検査士(CFE)」という共通の資格を有しており,その勉強会「不正の早期発見研究会」の中で,企業不正について議論をしてきた仲間であります。
 著作のきっかけは,霞さんの「はじめに」に詳しいのですが,長年,架空循環取引をはじめとする企業不正の調査に携わってきた霞さんと,企業の中からこうした事件を見てきた筆者が,企業法務の第一線でご活躍の中西さんを巻き込み,企業内における不正の早期発見について考察を深めた結果が,この一冊に結実したものです。
 架空循環取引という言葉はここ5年くらいの間に一般的になりましたが,昔から環状取引などとも呼ばれ,日本企業独特の不正として認識されてきたものです。最近では,ホンダの子会社における不正事件が新聞紙上をにぎわせました。本書では,こうした架空循環取引について,公表された事例,報告書を分析しながら,その発生のメカニズム,早期発見のための手法,発覚後の対応と再発防止策などを検討しています。
 推薦の言葉は,大阪の,というよりは,ブログ『ビジネス法務の部屋』でおなじみの山口利昭弁護士にいただきました。山口先生も私たちと同じ公認不正検査士(CFE)資格をお持ちで,研究会活動を通じて,交流させていただいている関係で,お忙しところ無理を言ってお書きいただいたものです。
 本書は,「実務対応」とサブタイトルに入れましたように,企業内で不正の防止・発見の役割を担っているビジネスマン,また,専門的知見をもってこうした事例の調査に当たられる弁護士・公認会計士の方々が,その業務を行ううえで参考にしていただくことを期待しています。ぜひ,こうした方々にお読みいただき,更なる議論が深まるとともに,企業不正の防止,早期発見に少しでも資することができれば,共著者の一人として大変うれしく思う次第であります。

 清文社さんのHPはこちらです。
http://www.skattsei.co.jp/search/054600.html


【税理士 米澤 勝】