[書籍等]「企業はなぜ,会計不正に手を染めたのか」

 清文社さんから本が出ました。名づけて,「企業はなぜ,会計不正に手を染めたのか――会計不正調査報告書を読む」。タイトルは,編集をご担当いただいた清文社の橋詰さんによるものです。
 清文社さんのホームページに内容の紹介があります。
http://www.skattsei.co.jp/search/054654.html#top

 内容は,Profession Journalというweb情報誌に不定期で連載を続けてきた「会計不正調査報告書を読む」で取り上げた報告書を中心に,もっぱら,不正実行者の動機がどの程度まで解明されたかに焦点を当て,まとめたものです。
 Profession Journalはこちらから。
https://profession-net.com/professionjournal/

 原稿をまとめるにあてっては,公認不正検査士(CFE)仲間で作っている研究会でのディスカッションで得た考え方や,研究会にご登壇いただいた講師のみなさんのお話を,ずいぶんと参考にさせていただきました。前書きに少し謝辞を述べさせていただきましたが,あらためて,研究会でご一緒いただているみなさんにお礼を申し述べたいと存じます。

 都心の大型書店には,明日の午後には並ぶということですので,ぜひとも見物に行かねばと思っております。

【税理士 米澤 勝】

[話題]泉岳寺中門隣接地にマンション建設計画


 弊事務所からほど近い泉岳寺の中門隣接地に8階建てマンションの建設計画に対して,地元住民による反対運動が起こっていることは存じておりましたが,宗教法人泉岳寺も,この反対運動に賛同しているようです。
 写真は,泉岳寺中門に建てられた「建設反対」の看板と,工事が始まっているらしい現場の様子です。

【税理士 米澤 勝】

[書籍]鹿田良美・出川洋・丸田隆英著「税理士・春香の民法講座」

 8月の新刊ということですが,清文社編集部の方のご厚意で頂戴しました。監修が青山学院の三木教授。執筆を担当された3人の税理士さんのうち2人は,三木教授が立命館大学で教鞭をとられていたころの院生だそうです。
 今日,日帰りで片道1時間余りの場所へ行く用事があって,その往復の道程で読んだのですが,所長先生と春香さん,山川くんという3人の会話で,税理士業務と民法の関わりを解説しようという試みは,よくできていると感じました。あいにく,三木教授が創造主である春香さんが活躍する他の書籍を読んでいないので,他との比較はできないのですが,まじめで勉強熱心な春香さんの姿には好感を持ちました(実際にここまで勉強できるかといわれると返事に困りますが)。

 内容的に,相続事案と土地をめぐる契約が頻出しているのが気になりましたが,それだけニーズの高い事案であるということなのでしょう。個人的には,マンションの管理組合が「人格のない社団等」として法人税の申告の税義務があるところ,民法上の組合は,組合の収支が,組合員個人の収支になると,さらっと書かれた事例(第9話)あたりは,もっと掘り下げた解説が欲しかったところです(自分で調べます)。

 本書は,「厳選した税法と民法の接点34事例を税理士が税理士のために『会話形式』で『わかりやすく』解説!(本書の帯広告(腰巻き)の文章より)」したものであるということです。税理士は7万4千人くらいいるそうですから,そのうち,5パーセントの人が本書を買ってくれたら,清文社さんにとっては大成功というところかな,などと考えますが,実際には,税理士事務所にお勤めの勉強熱心な税理士志望者のみなさんがターゲットになるのかもしれません。税理士は,たぶん,「税理士のための」と書かれた本はあまり読まないのではないでしょうか(小職だけかもしれませんが)。

【税理士 米澤 勝】

(話題)第三者委員会設置費用を補償する保険の発売(AIU保険のリリースより)

 会社役員責任賠償保険(D&O保険)の特約として,第三者委員会設置費用を補償する保険商品の発売を開始するというリリースを,AIU保険が発表しました。

http://www.aiu.co.jp/about_us/press/2014/14_06_23.htm

 第三者委員会設置費用の補償は日本では最初だそうです。
 以下,一部を転載します。

近年、法令違反行為、従業員の犯罪行為などの不祥事が発生した場合、会社の信頼回復を図るために大学教授、弁護士などの有識者による会社から独立した委員のみをもって構成される第三者委員会を設置し、その調査の結果や再発防止策を株主、消費者、取引先などのステークホルダーに公表する流れが定着しつつあります。
そこで、不祥事が発生した場合に会社の信頼回復を図るため、第三者委員会の速やかな設置を支援することを目的として、会社が第三者委員会を設置した場合に生ずる委員への報酬、調査に要した費用などを補償する本特約を開発いたしました。また、会社の信頼回復を図ることで、株主などからの役員個人に対する責任追及リスクの軽減を図ることも期待できます。

 企業不祥事発生時の第三者委員会による調査は,証券取引所によって半ば強制化されている感もありますが,現状,第三者委員会に対する報酬の額については開示義務はありません。
 したがって,どのくらいの保険金を付保しておけばいいのか,その場合の保険料はいくらになるのか,過去に不祥事を公表した企業の保険料は割増しになるのか,それとも,再発防止策効果で割引されるのかなど,興味深いところです。

【税理士 米澤 勝】

[書籍]小早川明子『「ストーカー」は何を考えているか』

「ストーカー」は何を考えているか (新潮新書)

「ストーカー」は何を考えているか (新潮新書)

 東京新聞の書評欄で取り上げられていたので読んでみました。著者は,NPO法人「ヒューマニティ」の理事長で,カウンセラー。500人以上のストーキング加害者のカウンセリングを行ってきたそうです。被害者のためだけでなく,加害者を救済するためにも勝度を行っているというところに驚きを感じました。

 たとえば,カウンセラーとしての矜持を思わせるのは次のような個所です。

カウンセラーにせよ,医療関係者にせよ,回復を望む人がいれば加害者であっても助ける,手を貸す,という判断は自然です。そうした職業意識を有効に活用することです。犯罪を起こす前にカウンセリングに結びつけられたら,殺傷事件は確実に減る。介入しなかったために事件が起きるなら,それこそ責任を負うべきでしょう。

 カウンセリングが成功した事件ばかりではなく,被害者を救えなかった事件にも言及されています。2012年の逗子ストーカー殺人事件は,著者にとって相談者が命を落とした初めてのケースだそうです。この事件では,犯人逮捕時に,逗子署員が,被害者の結婚後の姓を読み上げたことが,その後,執行猶予付きの有罪判決を受けた加害者が,被害者を殺害したという痛ましい事件です。
 ここで,弊事務所の大家さんでもある落合洋司弁護士のブログ『日々是好日』から,次の文章が引用されていたことでした。
 引用されたのは,2012年11月11日のブログ。http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20121111#1352596577

「法律で要請されているのは「示す」ことで、読み上げることまでは求められていません。
(中略)被害者が逗子市在住であったことから逗子警察署が被害届を受けて捜査をしていたものと思われますが(それが通常の手順です)、所轄警察がこうして動くことで、ストーカー側には、その管内に被害者が住んでいる、ということを推測させることになります。被害者に、現住所を知られたくないという強い希望がある以上、被害届を受理したり捜査を行う警察署を別にするなど、捜査の進め方についても細心の注意が必要であったのではないかと思います。

 ということで,本ブログでも紹介させていただきました。

【税理士 米澤 勝】

[話題]品川−田町間に新駅誕生(東京新聞より)

 かなり前から噂になっておりましたが,ようやくJR東日本が正式発表したようです。
 ↓東京新聞の記事
 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014060402000131.html

 品川駅の北900メートル,泉岳寺駅からも300メートルとありますから,弊事務所にとってもJRからのアクセスが良くなりそうです。ただ,開業は2020年のオリンピックに合わせるということですので,まだ少し先です。東京新聞によれば,山手線内の新駅開業は,1971年の西日暮里駅荒川区)以来ということです。

 ↓JR東日本ノリリース
 http://www.jreast.co.jp/press/2014/20140604.pdf

 JR東日本の公開した地図によると,影木周辺は南北に細長い用地が確保されそうなので,このあたりがどのように開発されるかも楽しみです。高輪地区から芝浦地区へ抜ける桁下の低いトンネルは,これを機に廃止されそうな感じです。
 駅の名称については,まだ何の発表もありませんが,最近の潮流としては,周囲の複数の地名を併記する傾向にあるようですので,そうすると「高輪泉岳寺」とか「芝浦高輪」とか「芝浦泉岳寺」といった名称が考えられますが,さて,どのようにきめられるのでしょうか。

【税理士 米澤 勝】

[書籍等]税務弘報2014年6月号に寄稿しました(発売中です)。

 現在発売中の「税務弘報」の特別企画『26年6月株主総会 会計・税務の留意点』に「役員給与の確認ポイント」と題する論考を寄稿しました。平成18年度改正で,法人税における役員給与の取扱いが大幅に変更になり,損金の額に算入するための手続要件が厳格化されたことによる課税実務への影響を,あらためて,今回の株主総会決議にあたって確認してもらおうという趣旨に基づく企画です。
 税務弘報の今月号の特集は,「小規模宅地特例」を事例に即して考えるもので,相続税の遺産に係る基礎控除が引き下げが近づいてきた中,納付すべき相続税額のシュミレーションに際して注意すべき点が詳述されており,大いに参考にしたいと思います。
 それ以外にも,現在審議中の行政不服審査法の改正を受けて,国税不服審査制度がどう変わるかを論じた座談会や,組織再編に係る行為けさん否認規定適用を認めた東京地裁平成26年3月18日判決(ヤフー事件)の解説記事なども掲載されており,たいへん読み応えのある内容となっています。

【税理士 米澤 勝】