[企業不正]株式会社クロニクル,自己破産申請へ

 元ジャスダック上場の株式会社クロニクルが,自己破産を申請することが一斉に報じられました。同社は,今年1月,過去の不適切な取引に関して,第三者調査委員会を設置して調査を行い, 紆余曲折があった末に,7月17日に上場廃止となっていました。
↓ 帝国データバンク
http://www.tdb.co.jp/tosan/syosai/3810.html
↓ 東京商工リサーチ
http://www.tsr-net.co.jp/news/flash/1240005_1588.html

 今年に入ってからの流れを,時系列で整理するとこうなります。
1月25日 第三者委員会設置
3月14日 第三者委員会による中間報告書受領
4月 5日 会計監査人の異動及び一時会計監査人の選任
4月19日 第三者委員会の調査報告書(最終報告)受領
5月27日 子会社役員による不正発覚
6月14日 一時会計監査人の辞任
6月16日 上場廃止決定
7月17日 上場廃止
7月31日 自己破産申請予定

 過年度の不正発覚から約半年で,上場廃止→自己破産申請へと一気に進んでしまった感じです。過年度の損益を修正し,会計監査人の監査が急がれている最中に,子会社の役員が顧客から預かった宝飾品を私的に流用していたとして,警視庁の自首し,逮捕された事件(5月27日リリース)が,同社に止めを刺したというところかもしれません。
 預り在庫の私的流用は,第三者委員会設置のきっかけとなった前代表取締役会長による不正の手口の一つでした。同社グループがどのような販売形態をとっていたかは不明ですが,経営トップの不正に対しては,内部統制は働かなったのでしょう。

 なお,クロニクルが公表した調査報告書の特徴については,税務会計Web情報誌Profession Journal No.21で解説記事を書かせていただきましたが,現経営陣のうち,事件後に就任した1人の取締役を除く全取締役及び監査役の辞任を要求するとともに,会計監査についても,「会計監査が調査対象事項のような事象への抑止力につながらなかった」として,厳しい意見を言明していました。
↓ Profession Journal No.21(申し訳ありませんが,会員の方しかお読みいただけません)
https://profession-net.com/professionjournal/financial-statements-article-13/

【税理士 米澤 勝】