[税務争訟]税務訴訟資料(平成21年分)の公開

 確定申告期が終了するのを待つかのように,平成21年分の税務訴訟資料が,税務大学校のHPで公開されました。新たに公開されたのは,平成21年判決分(税務訴訟資料第259号)243件と,同じ平成21年分の徴収関係判決が56件です。
http://www.nta.go.jp/ntc/soshoshiryo/index.htm

 とてもすぐに読める量でもないので,とりあえず,判決内容を集計してみました。

 まず税務訴訟資料第259号ですが,全243件のうち納税者側の勝訴判決(最高裁における上告受理決定,一部勝訴を含む)は23件で,勝訴率は9.47%でした。
 一方,徴収関係判決は,HP上の一覧表を見ると,「認容」「一部認容」が目立ちます。56件中,18件(32.14%)もあります。徴収事件で,課税庁側がこんなに負けるはずはないと思い,PDFを一つずつ開いて,謎が解けました。徴収事件の場合,原告になるのは納税者と限らず,国が原告として納税者を訴える事件が含まれていて,この場合でも,国の訴えが認められ馬「認容」と表記されていることがわかりました。
 あらためて数えたところ,国が原告(控訴人)として判決を得たものが18件で,そのうち17件が「認容」または「一部認容」でした(勝訴率94.44%)。国が敗訴したのは,簡易裁判所で争われていた供託金の還付請求権取立権の確認事件でした。一方,納税者が国を相手どって訴訟を起こした37件では,最高裁判所で上告受理申立が認められたのが1件あるのみで,あとはことごとく「棄却」,「却下」,「上告不受理」という文字が並んでいます。ということで,国側の徴収事件における強さを見せられた気がしました。

【税理士 米澤 勝】