[企業不正]IXI事件の和解(続報)

先日,株式会社アイ・エックス・アイ(以下,IXI)の破綻に伴う損害賠償請求事件で,同社株式の売主であった株式会社シーエーシー(以下,CAC)との和解を発表した株式会社インターネット総合研究所(以下,IRI)ですが,今度は,監査を担当していた新日本有限責任監査法人との間で和解したことを発表しました。
新日本監査法人は,IRIに対して和解金1億5千万円を支払うということで,実質的に監査に過失があったことを認めたものといえそうです。
http://www.iri.co.jp/jp/ir/pdf/20110630.pdf

リリースの中で,IRI社は,
「当社には一切の不正や落ち度がなかったことが明らか」
と強調しており,筆者が6月20日付の本blogで,
デューデリジェンスで不正な売上計上を見抜けなかったという落ち度がある」
と書いたことは否定されています(このblogを読んだとは思えませんが)。
また,文末では,こんなふうに主張しています。

 当社は長年にわたって不正を繰り返していたIXIが,東証二部上場企業として資本市場に上場することに関与してきた関係者から,解決金の支払を受けることができたことを今後の企業活動再生に向けてのステップにしていきたいと考えております。

 一方,新日本監査法人は,早期解決を図るために,1億5千万円の解決金を支払うことを合意した,という簡単なコメントをリリースしています。
http://www.shinnihon.or.jp/about-us/news-releases/2011/2011-06-30.html

 会計監査で架空循環取引が発見できるかどうかについて,筆者は非常に懐疑的な立場であり,通常の監査手続きの中での発見は難しいと思っています。そうしたこともあって,本事件において,裁判所が監査における過失についてどのような判断をするのか興味をもっていたわけで,IRI社には失礼な表現になってしまいますが,少し残念な和解ではありました。


【税理士 米澤 勝】