富士通株式会社定時株主総会

すでに速報ニュースなども出ていますが,富士通の定時株主総会に出席しました。
http://www.nikkei.com/news/latest/article/g=96958A9C9C81E2E2E3E2E2E2E38DE0E3E2E4E0E2E3E2E2E2E2E2E2E2

最終的な出席者数は分かりませんが,開会の約1時間前に会場に着いたときには,すでに数百名の株主が開会を待っていたようです(私の出席票番号は620番でした)。
株主の関心は,言うまでもなく,全面的に会社側と争っている前社長の野副氏が,株主の立場でどんな発言をし,それに新経営陣がどう応えるか,といったところでしょうか。業績が回復しても,東芝と携帯電話事業の統合を発表しても,あまり話題にならない富士通ですが,野副氏の解任をめぐる話題だけは,相変わらず,大きく取り上げられています。
野副氏側は,記者会見を行ったり,会社法の規定による責任追及の訴えを提起するように監査役会に求めたり,横浜地裁川崎支部に対しては虚偽の理由で解任を強要されたことを理由に代表取締役としての地位保全を求めた仮処分申請を行ったり,文藝春秋に手記を載せたりと,いろいろと揺さぶりをかけているようですが,富士通監査役会は不提訴を決め,横浜地裁川崎支部は仮処分申し立てを却下し,どうも旗色は悪いようです。おまけに,総会直前の18日には,東京高等裁判所が,野副氏の抗告を棄却したとの報道もありました。

総会は定刻の10時にスタート。会社の業績に関する説明,決議事項の説明の後,10時50分ころから,間塚会長により,野副氏の辞任を巡る会社側の見解について約20分間,説明があり,その後,小倉常勤監査役から,責任追及の訴えに対し,監査役会は全員一致で不提訴を決めたことをはじめとする,監査役会の対応についてコメントを挟んだのち,事前に提出されていた野副氏からの質問状に対し,山本社長が回答する形で,野副氏の辞任を巡る問題について,会社側は約40分の時間を説明に充てました。
説明には,マスコミ等で報道されている以上の新しい事実はなく,その後の株主による質問でも,何人かはこの件を取り上げましたが,山本社長が「すでに説明済みであり,これ以上の回答はしない」と言明してからは,野副氏辞任をめぐる質問は,その矛先を社外取締役・社外監査役へと向けることになりました。そうした質問に応えて,大浦取締役の「穏便に済ませたいと思って決めたことだが,今となっては解任すべきであった」という発言や。山室監査役の「(虚偽の理由による辞任発表は)適正ではなかった」といった発言を聞けたことは,個人的には,株主総会に出席してよかったと思った次第です。

終了は12時50分。約170分の総会は,富士通の歴史上最長のものではないかと思料しますが,総じて,山本社長は,質問を真摯に受けとめ,冗長な質問にも辛抱強く対応され,また,他の取締役・監査役も,質疑においては自分の言葉で回答されていた様子で,株主からヤジや罵声が飛ぶこともなく,むしろ新経営陣を応援する拍手が目立ちました。
個人的には,これまで,株主総会では裏方の仕事をすることが多かったので,これだけの事件があった後で,大きなトラブルもなしに総会を運営した事務局のみなさんのご苦労には,本当に頭が下がりました。

(米澤勝)