性同一性障害夫婦の男性,「子を嫡出子に」法相に要望

http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20100216-OYO1T00549.htm

性同一性障害で女性から性別を変えた兵庫県宍粟市の男性(27)が、第三者精子を使って妻との間に人工授精で生まれた子を「非嫡出子(婚外子)」として届けるよう同市から指示された問題で、この夫婦らが15日、千葉法相と面会し、「嫡出子」として認定するよう求めた。
夫婦は昨年11月、市に出生届を出したが、法務省は「生物学上は同性同士で、子をもうけるのは不可能」との見解で、市は12月、法律上の婚姻関係にない男女から生まれた「非嫡出子」として届けるよう求めた。


現在の戸籍実務では,あくまで生物学上の自然血縁関係がある子どもだけが「嫡出子」としての資格を有すると考えているのでしょう。しかし,民法772条1項は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」と規定するのみで,懐胎(妊娠)が自然血縁関係であるか否かというのは特に要求されていません。また,平成15年に成立した『性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律』によれば,性別取扱い変更の審判を受けた者は,民法等の適用について他の性別に変わったものとみなしています(4条1項)。

このように,性別の変更が法律上認められるようになった現在では,嫡出子の要件に自然血縁関係を要求する必要はないと言うべきでしょう。更にいえば,これを機会に『嫡出子』概念そのものの必要性に関する議論がなされてもいいのではと思います。

(阿部憲太郎)