裁判員裁判で注目される『保護司』…進む高齢化、なり手発掘が急務

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2010013102000095.html

昨年8月に裁判員裁判が始まってほぼ半年。元被告が地域社会で更生できるよう保護司が手助けする保護観察付きの執行猶予判決が増えている。真の立ち直りを願う裁判員の思いの表れだ。「日の目を見なかった更生保護の取り組みが市民権を得るチャンス」とベテラン保護司。その半面、保護司の高齢化が進み、新しいなり手の発掘が急務だ。
犯罪白書によると、2008年に確定した44400人の執行猶予判決のうち保護観察付きは3700人で過去最低の8.3%にとどまった。ところが、09年にあった138件(被告142人)の裁判員裁判では猶予判決を受けた32人のうち六割超の20人に保護観察が付いた。(中略)
だが、保護司は法相が委嘱した民間のボランティア。仕事との両立が難しかったり家族が反対したりして、とりわけ若い世代のなり手は少ない。全国の保護司の定員は52500人だが、実人員は約49000人。7割超は60歳以上と高齢化が進んでいる。
一方、保護観察中の再犯率は約3割と高止まりだ。「立ち直れるかどうかは元被告の意欲にかかっている。矯正施設での改善更生が本人のためになる場合もある」(大田区の保護司)と、保護観察付き判決の激増ぶりを警戒する声もある。


保護観察は一般の刑事事件の他,少年事件において活用が多く,保護観察処分がなされると保護司の下で更生を図ることになります。具体的には,少年の近所に居住する保護司宅へ定期的に訪ねその話しを伺う,保護司に現在の心境について日記等で報告する,などの活動を行います。そのような活動の中で少年が自分自身で色々なことについて考えるのが重要なポイントです。このような活動は成人の場合もほぼ同様です。

しかし,上の記事にもあるように,保護司は基本ボランティアであって(多少の手当は出るのですが),どうしても地元の篤志家などの犯罪者や非行少年の改善や更生に努めるという保護司の理念に共感してくれる人に限定されてしまっているのが現状です。

できれば,裁判員裁判をきっかけに,刑罰を課す際の手続のみならず(こちらも当然重要なのですが),犯罪者や非行少年の更生や社会復帰という点についても注目してみるのも,より良い社会を皆で作るという点で有益だと感じています。

(阿部憲太郎)