家賃滞納データベース,運用開始

http://www.asahi.com/national/update/0130/OSK201001300075.html

家賃保証業者でつくる社団法人「全国賃貸保証業協会(LICC=リック)」は、入居者の信用情報を一括管理するデータベース(DB)について2月1日から加盟13社で運用を始め、1年後に約100万件の登録を見込んでいることを明らかにした。DBには本人と特定できる個人情報に加えて滞納歴も記され、返済状況によっては今後、賃貸住宅を借りる際に契約を拒まれるケースが出てきそうだ。
LICCによると、DBの登録対象者は1日以降、加盟社と家賃の保証委託契約を結んだ入居者。加盟社は契約時に、不動産仲介業者を介して同意を取り付け、生年月日や電話番号などを登録する。さらに入居者に代わって家主側に立て替えた家賃の残高などを入力し、滞納事実と返済状況を特定する。
登録に同意しない場合について、LICCは「(保証委託契約の)審査を拒否することはない」とする一方、「加盟社がケースごとに判断する」とも説明。連帯保証を請け負う契約を結ぶか否かを審査する上で、マイナス材料になることを否定していない。
DBの情報は原則、退去から5年間保存される。滞納が続いていると、退去しても完済から5年間は消えない。このため、次の住まいを借りる際に、加盟社がDBの信用情報を照会し、「悪質な入居者」と判断されると契約を拒まれる可能性がある。


貸金業については借り入れをした(あるいはクレジットで買物・キャッシングをした)ものの返済不能となった方々をまとめたリストが既に整備されていて,弁護士に債務整理を依頼した債務者は金融業者から新たな借入をすることが出来ず,クレジットカードも作れなくなります。このようなリストを家賃についても作成するものです。

確かにこのようなデータベースを作成すれば家主側としては家賃をより確実に徴収することができ,それにより家賃取立不能のリスクを他の健全な借り手に課す必要がなくなることから,結果的に家賃が下がることに繋がることになるのかもしれません(実際に下がるるかは未知数ですが。)。

他方,家賃を滞納したといっても,その理由には様々なものがあり,中には借り手の責任を問いえないような理由に基づくものもあります。しかしながらデータベースでは滞納理由については記録されないでしょうから,場合によっては誠実な借り手が借家できないといった事態が生じることも起こりえます。

そのようなことがないよう,賃貸契約を締結するかの判断に際して,上記データベースを絶対視しないよう,慎重な運用が望まれます。

(阿部憲太郎)