明大・納谷廣美教授最終講義

23日(土),明治大学駿河台キャンパスのリバティタワー1階で,明治大学納谷廣美教授の最終講義が午後4時30分から通常の授業時間である90分間かけて行われました。

納谷教授は私のゼミの指導担当教授だった先生で,現在では学長になられています。司法試験合格後,東大の三ヶ月章元教授に師事して同教授のゼミで研鑽を積んだ後,司法研修所に入所(20期),その後弁護士登録され,常に実務を経験しながら教鞭を取られた先生です。

最終講義では最初に先生の出身地である北海道・旭川から上京して明治大学に入学するまでの話をされておりましたが,「内地」という言葉が何度も出て来て,かつて自分がゼミを受けていた時もゼミの最中に同趣旨の話しをされていたのを思い出し,懐かしい気持ちがしました。

その後明大を卒業して司法試験合格後,東大大学院に入学されたとき,明大では天狗だったものの東大の研究室では他のゼミ生がドイツ語の原書を読んでいる中自分はドイツ語を大学時代に取ってなかったので苦労した話をされていて,納谷先生でも苦労したのかと改めて知り,驚きました。

続いて先生の研究活動に基づいた講義が行われましたが,その中では『不法行為型訴訟』についての話を興味を持って聴講しておりました。これは,医療過誤行政訴訟においては証拠が一方当事者に偏在していることから対応策を講じる必要がある旨の主張を30年以上前からされていたとのことで,今では文書提出命令が当然のようになされ,証拠もあるものについてはいずれの当事者かを問わず提出される流れになっておりますが,納谷先生などの諸先生方が長年主張されたからこそ現在の実務があるのかと改めて感じました。

講義の最後には話題が大学行政にも及び,先生の明治大学に対する熱い思いがヒシヒシと伝わってきました。

講義終了後の懇親会では,冒頭で青山善法科大学院長が民事執行法27条の文言は納谷先生の論文が契機となった旨の話しをされ,改めて納谷教授のすごさを感じました。

納谷教授は教授を退官して,今後2年間は学長職に専念されるとのことで,一層御活躍されることと思います。

(阿部憲太郎)