日本航空,会社更生手続きによる再建か…金融機関が同意へ

JAL再建、主力金融機関らが会社更生法活用で同意へ=関係者 - ロイター

日本航空(JAL)の再建をめぐり、企業再生支援機構が検討している会社更生法を活用した事前調整型の法的整理について難色を示していた主取引銀行が、15日までに同意することが明らかになった。
これを受けてJALは、19日にも東京地裁に更生法の適用を申請、支援機構はJAL支援を正式に決定する。運航継続を担保するため支援機構と日本政策投資銀行が、資金繰り不安に備えたつなぎ融資として6000億円規模の資金枠を設定する。


金融機関も観念(?)したのでしょうか。これで,JALの再建は法的手続,それも会社更生法に基づく手続で行われることがほぼ確実になったでしょう。現経営陣は退任し,外部から新しく就任するCEOが会社更生手続開始決定後もそのまま更生管財人として経営を行う,DIP型会社更生による手続が行われるものと予想されます。その上で,提携先の決定や運行便の再編(特に国外路線)

また,減資を100%行い上場廃止にするか,100%減資は行わず上場維持するのかも問題となっていますが,従前の経営に対する責任を明確化させるためにも,100%減資の上で上場廃止すべきと思われます。

これで手続が粛々と進められる…と思っていたのですが,企業年金の減額を巡りまだ一波乱ありそうです。

http://mainichi.jp/select/today/news/20100110k0000m020033000c.html

日本航空企業年金の減額にOBが同意するかどうかを確認する手続きは、12日が書類の返送期限となる。日航にとって、減額に必要な3分の2以上の同意確保は法的整理を回避するための条件だったが、法的整理が固まったことで意味合いが変わった。同意が3分の2に達するかは微妙で、達しない場合は年金基金が解散する可能性もある。

同意確認のための書類を発送した時点では私的整理が有力視されていたこともあってか,状況の変化に戸惑っているというのが実感ではないでしょうか。しかし,年金基金が解散してしまえば残余財産の分配金を一時的に受け取る他には年金をもらえないのであり(それも分配金がどれだけもらえるのか分からない),最終的にはOBも同意する他ないのではないでしょうか。

なお,3分の2という数字は,確定給付企業年金を実施する際に定める規約の変更を厚生大臣が承認するに際し求められる手続です(確定給付企業年金法6条4項,同施行令4条2号,同施行規則6条2号イ)。

(阿部憲太郎)