過払い金返還請求に民事調停の積極的活用

http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/100102/trl1001022338000-n1.htm

消費者金融への「過払い金返還請求」が原因の民事訴訟急増を受け、最高裁などが「当事者のニーズや紛争のサイズに応じた解決手段の活用」の促進に向けた検討を始めた。特に簡易裁判所の「民事調停」に注目し、1月中にも全国主要簡裁による調停活用の勉強会も発足させる予定になっている。
最高裁は「過払い金請求に時間を取られ、裁判官としてのスキルにかかわる普通の訴訟処理に影響も」と危惧(きぐ)。人員補充に加えて、「コストや時間など当事者のニーズ、紛争のサイズに合った解決手段を利用してもらうのが望ましい」と民事調停や裁判外紛争解決手続き(ADR)、各種行政機関など裁判外の利用促進を目指す。
すでに東京簡裁では21年4月から調停を積極活用。10月までの過払い金請求訴訟のうち当事者の同意で約200件を調停に移し、7割強を解決した。
12月に行われた全国主要簡裁の協議会では、簡裁裁判官による調停活用の勉強会を1月にもスタートさせることが決まった。調停の進め方や利用促進のためのPRなどについても話し合うという。


過払い金返還請求の場合もいろいろな法律上の問題点があるのですが,調停手続きで行ってしまうと,判決と異なり詳細な理由が明らかにされず,それら法律上の問題点がどのような論理で解決されたのかが不明となってしまうこともあり,今までは利用することに躊躇してしまう部分もあったと思います。また,調停委員が過払い金返還の実態をどこまでわかっているのかという点について裁判手続の利用者が懐疑的な目で見ていたこともたしょうはあるものと思われます。しかし,調停手続は上手に利用すれば訴訟よりも早く判決と同様の効果を得られることから,少額の請求については積極的に活用することを考慮してもよいのかとも思っています。

(阿部憲太郎)