東京地裁・民事訴訟が過去最多…過払金請求訴訟の増加で

http://mainichi.jp/select/today/news/20091230k0000m040086000c.html

東京地裁が今年に提訴を受理した、交通事故や労働、行政などの専門訴訟を除く「通常民事訴訟」の件数が約4万4000件と、過去最高を記録することが確実になった。消費者金融などに過払い金返還を求めた訴訟が急増したためで、裁判官1人当たり年間約300件を処理する計算。裁判員制度スタートで刑事裁判に注目が集まったが、民事裁判官の負担も高まっている。
同地裁によると、通常民事訴訟の受理件数は98年以降、年2万5000〜3万件で推移していた。だが、07年は約3万3000件、08年は約3万6000件と増加が続き、今年は初めて4万件を超える見通しとなった。月間の受理件数も今年7月に過去最高の約4300件を記録した。
受理件数を押し上げているのが、過払い金訴訟の増加だ。最高裁が06年、貸金業者が利息制限法と出資法の上限金利間の利率(グレーゾーン金利)を受け取ることを事実上認めない判断を示してから件数が急増。98年の約300件から微増傾向だったが、▽06年約5400件▽07年約9700件▽08年約1万2900件と大幅な伸びを示し、今年は約2万件に達する見通し。借り手の過払いに対する認識が高まっていることも背景にあるとみられる。


「通常民事訴訟」の内容が若干不明確なところもありますが,おそらく不動産や損害賠償等の訴訟を指すのでしょう。私も裁判所が仕事納めとなる28日に訴状を提出したのですが,その際に付される(ワ)事件の番号(訴訟提起や各種申立てを行うと,裁判所の方で事件管理のために1件1件に番号が付されます。事件番号は裁判所毎に元号,カッコを付けた符号,番号の順番でつきます。地裁に提起する民事通常訴訟の場合,符号が(ワ)であることから俗に『ワ事件』とも言います。)が47400番台となっているのを見て驚きました。

過払金請求そのものはここ数年増加していたのですが,以前なら業者も任意の交渉で支払いに応じていたのが,ここに来て金額や支払い条件で渋るようになり,そのため訴訟提起することで過払い金の回収を図る必要が増えてきたことによるのが訴訟増加の背景でしょう。

グレーゾーン金利の廃止,総量規制の導入に伴って新規貸付の中止,更には廃業する金融業者が今後更に増えるものと思われますが,過払い金の請求及び訴訟提起についてもここ1,2年がピークで,増加することはあっても減少することはないものと思われます。

(阿部憲太郎)