全国初の裁判員裁判でなされた量刑,東京高裁が支持…被告側の控訴を棄却
http://sankei.jp.msn.com/affairs/trial/091217/trl0912171544018-n1.htm
全国初の裁判員裁判となった東京都足立区の隣人女性殺害事件で、殺人罪に問われた無職、藤井勝吉被告(72)の控訴審判決公判が17日、東京高裁で開かれた。山崎学裁判長は懲役15年(求刑懲役16年)とした1審東京地裁判決を支持、藤井被告側の控訴を棄却した。
裁判員裁判でなされた判決に不服がある場合,被告人としては当然に控訴ができるわけですが,その場合に1審判決が変更されるのはどのような場合なのか,というのが問題になっています。もし認定した事実が誤っている,あるいは量刑が不合理であるとして1審判決が容易に破棄されてしまうのであれば,一般市民の感覚を刑事裁判に反映させようとした裁判員裁判の意味がなくなってしまうからです。
この点,最高裁判所に設置された司法研修所(弁護士のタマゴが研修する場所でもあります。)は昨年,裁判員裁判について「控訴審はできる限り一審判決を尊重し、破棄は例外的なものに絞り込まれる」との研究報告書を公表しています。具体的には,
・事実誤認については経験則上あり得ない不合理な結論に至っている場合を除いて基本的に1審判決を尊重する
・量刑不当ついてはよほど不合理であることが明らかな場合を除き1審の判断を尊重すべき
とされています。
もちろん,一般市民が加わった裁判体でなされた判断を職業裁判官がむやみに覆してはならないのですが,他方で真実の追求も刑事裁判のひとつの大きな目的であることは間違いなく,今後は特に事実関係が争われた場合に深刻な問題になって現れてくるでしょう。
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(阿部憲太郎)