少年院法改正視野に有識者会議設置

http://mainichi.jp/select/seiji/news/20091211k0000e010058000c.html

千葉景子法相は11日の閣議後会見で、少年院での処遇の適正化を図る「少年矯正を考える有識者会議」を設置すると発表した。広島少年院で起きた収容少年への暴行・虐待事件を受け、制定以来見直す機会のなかった少年院法の改正も検討の対象とする。」


少年院は悪いことをした子どもが刑務所の代わりに入る施設…というイメージが一般的でしょうか。少年院が具体的にどのような活動をしているのか,一般にあまり知られていないかもしれません。少年院に入所した児童生徒に対しては,一般的な生活を行うための指導訓練(早寝早起きや挨拶からはじまります。),学校で本来行われる授業など勉強指導,あるいは職業訓練(地域によっては一班の仕事を行わせている事例もあるそうです。)も行われます。入所期間については,短くて4〜6ヶ月,長くなると2年という少年もいます(特に,16歳未満の少年が刑事事件により懲役刑を受けた場合,16歳になるまでは刑務所の代わりに特別少年院に入所することになります。)。

ただ,少年院法そのものは昭和23年に制定されて以降,小規模の改正を数度行った他は大きな改正を行っておらず,全部で30条にも満たない小さな法律です。そのため,入所年齢,在院期間及び少年院に入所した少年に対して行われる教育内容について規定した他は,ほとんど規定がされておらず,具体的な運営方法や入所中に不利益待遇を受けた場合の不服申立て手段などの規定がない点についてはかねてより問題視されてきていました。

成人が犯罪を犯した場合に入所する刑務所については,平成18年にそれまでの監獄法から『刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律』が新たに制定され,被収容者が刑務所内で不利益待遇を受けた場合の不服申立て手段が設けられました。少年院法についても,入所する少年院が不当な待遇を受けないためにも,同様の制度を設けることが求められます。

なお,有識者会議の委員の中には,漫画『家栽の人』原作者の毛利甚八さんが入るとのことです。『家栽の人』は家庭裁判所で扱う離婚や相続,少年事件が詳しく描写されており,内容も面白いのでオススメです。

家栽の人 (1) (ビッグコミックス)

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(阿部憲太郎)