[税制]消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A

 国税庁のHPに,「消費税率引上げに伴う資産の譲渡等の適用税率に関するQ&A」と題されたPDFファイルが掲載されました。設例はぜんぶで10問,7ページ。やや少ないかなという印象を持ちながら,読みました。
↓ 国税庁HP
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf
 昨年4月に公表されたQ&Aは59もの設例がありましたから,経過措置に関する説明が一切されていないとはいっても,ずいぶんとシンプルな内容になっています。その理由は,設例の中にありました。たとえば,問6の「不動産賃貸の賃借料に係る適用税率」の設例を読むと,
「平成25年10月1日以後に契約する賃貸借契約(改正法附則第5条第4項に規定する経過措置は適用されないもの)」
という断り書きが,しっかり明記されていて,賃貸料の受領日に関係なく,賃貸料が3月分か4月分かで,適用される税率が違うという説明がされています。
 というわけで,賃貸借契約を指定日である平成25年10月1日の前日までに締結している場合には,「経過措置がある」ということはどこにも記されていないのですが,昨年4月公表のQ&Aをあらためてお読みいただくと,適用要件はありますが,経過措置が適用されて,次回の契約更新までは5%の税率を適用される場合もありますので,注意が必要かと思います。
 詳しくは,昨年4月公表の「平成26年4月1日以後に行われる資産の譲渡等に適用される消費税率等に関する経過措置の取扱いQ&A」をお読みください。
↓ 国税庁HP
http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/shohi/kaisei/pdf/201401qa.pdf
 国税庁としては,「指定日」や「経過措置」といった文言はなるべく忘れてもらって,
「4月1日以降の資産の譲渡等に適用される消費税率は8%である」
と,国民を洗脳したいところかもしれませんが(税収が増えますから),経過措置の適用があるかどうか,改めて確認しなければならないと考えた次第です。

【税理士 米澤 勝】